副業・兼業ガイドライン|採用時に確認すべき就業規則の設計

副業・兼業ガイドライン|採用時に確認すべき就業規則の設計

厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表し、企業に対して自社の副業・兼業の許容状況を公表することを推奨しています。さらに、政府の働き方改革実行計画では2027年度以降「希望者全員が原則として副業・兼業を行うことができる社会」を目指す方針が示されています。採用担当者がすぐに対応すべきことは「自社の副業ルールの整理」「求人票・採用LPでの副業可否の明示」「副業ありの候補者を採用する場合の労働時間管理の準備」の3点です。

この記事でわかること

  • 副業・兼業ガイドラインの概要と最新の動向
  • 採用担当者が今すぐ対応すべき3つのポイント
  • 副業可否を求人票に記載する効果と書き方
  • 副業ありの候補者を採用する際の労働時間管理の注意点

副業・兼業ガイドラインの概要と最新動向

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は2018年1月に初めて策定され、2020年9月の大幅改訂を経て2022年7月に再改訂されました。2025年3月には厚生労働省がわかりやすい解説パンフレットを公表しています。

項目 内容
ガイドラインの目的 企業と労働者が安心して副業・兼業に取り組めるよう、労働時間管理・健康管理等のルールを示すもの
政府の方針 働き方改革実行計画で「2027年度以降、希望者全員が原則として副業・兼業を行うことができる社会」を目指す
企業への推奨事項 副業・兼業を許容しているか否か、条件付きの場合はその条件を自社ホームページなどで公表すること
フリーランス新法 2024年11月施行。個人事業主として副業を行う従業員に対して企業が業務委託する際のルールが厳格化
今後の法改正動向 労働基準関係法制研究会が2025年1月に報告書公表。2026年に労働基準法改正法案として国会提出見込み(2027年4月施行予定)

厚生労働省のモデル就業規則も改定されており、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定から、副業・兼業を原則として認める方向にシフトしています。

採用担当者が今すぐ対応すべき3つのポイント

① 自社の就業規則と副業ルールを整理する

まず人事・総務と連携して自社の就業規則を確認します。「副業を全面禁止しているか」「条件付きで許可しているか」「全面的に認めているか」のどの状態かを把握します。古い就業規則では「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が残っていることがあります。採用候補者から質問された際に明確に答えられる状態を作っておくことが重要です。

② 求人票・採用LPで副業可否を明示する

候補者が応募前に確認したい項目として「副業の可否」は上位に入っています。求人票・採用LPの福利厚生・働き方の欄に「副業可(届出制)」「副業可(許可制・競合他社を除く)」「副業不可」と具体的に記載します。条件付き許可の場合は「事前申請が必要」「労働時間の合算が法定外残業を超えない範囲」など条件も明示します。求人票の書き方は求人票の書き方|採用担当者が整えるべき全項目と書き方の型を参照してください。

③ 副業ありの候補者を採用する場合の手続きを準備する

すでに副業をしている候補者を採用する場合、入社時に「副業先の業務内容」「副業先での労働時間」「健康管理上の留意点」を申告してもらう書面が必要になります。労働時間の通算管理が必要な場合は、副業先と自社の労働時間を合算して法定労働時間を超えないようシフトを調整する必要があります。手続きの整備は人事と協議して早めに進めます。

副業ありの候補者を採用する際の労働時間管理

労働基準法第38条第1項により、複数の事業場で働く労働者の労働時間は通算して管理する義務があります。採用時に副業先での労働時間を把握し、自社での労働時間と合算して時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間)を超えないよう設計します。

管理項目 採用時に確認すべきこと
副業先の業務内容 競合他社・利益相反になる業務でないかを確認
副業先の労働時間 週・月単位での労働時間(雇用契約の場合)
副業先での働き方 雇用契約か業務委託か(管理方法が異なる)
健康管理 副業先と自社合算の労働時間が長すぎないか
機密情報・職務専念義務 自社の機密情報の取り扱い・職務専念に支障がないか

業務委託(フリーランスとしての副業)の場合は労働時間通算の対象外ですが、2024年11月施行のフリーランス新法により、企業が業務委託する際のルールが厳格化されています。雇用と業務委託で扱いが異なるため、副業の形態を入社時に明確に確認することが重要です。

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副業可を採用ブランドに活かす方法

副業を認める企業は採用市場での競争力が高まります。特に20〜30代の転職検討層では「副業可否」が転職先選定の判断軸の一つになっています。採用ブランディングの観点から以下の方法で副業可を打ち出せます。

  • 採用サイト・採用LPに専用ページを設置:「副業・兼業の方針」として明確なページを設ける
  • 社員の副業エピソードを発信:実際に副業をしている社員のインタビューをnote・採用ブログに掲載
  • スカウト文面で副業可をアピール:働き方の柔軟性を求める候補者に向けたスカウトで副業可を明示
  • カジュアル面談で具体例を共有:「実際にこんな副業をしている社員がいる」という事例を伝える

採用ブランディングの全体設計については採用ブランディングの始め方|中小企業が整えるべき3つの土台を、採用広報の進め方は採用広報の始め方|note・SNS・自社メディアで候補者を集めるを参照してください。

※本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。最新のガイドライン・法令は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。