採用後の定着率を計測する|3か月継続率の計算と改善の手順

採用後の定着率を計測する|3か月継続率の計算と改善の手順

採用コストをかけて入社させても、3か月以内に辞められると採用の効果はゼロになります。「またすぐ辞めた」を繰り返さないためには、定着率を数字として把握し、どの採用チャネル・どの入社時期・どんな職種で離職が多いかを特定することが必要です。この記事では3か月継続率の計算方法と、定着率が低い場合の原因の特定・改善の手順を整理します。

この記事でわかること

  • 3か月継続率の計算式と目安の数値
  • 採用KPIに定着率を組み込む方法
  • 定着率が低い場合の原因の特定フロー
  • チャネル別・職種別・時期別の分析視点
  • 定着率改善のための具体的な打ち手

なぜ定着率を計測する必要があるか

採用活動の評価は「採用できたか」で終わりがちですが、入社後に定着しなければ採用コストがまるごと無駄になります。人材紹介を使って年収500万円の人を採用した場合、手数料だけで150〜175万円かかります。その人が3か月で辞めると、再度同じコストが発生します。

定着率を計測することで得られる情報は2つです。ひとつは「採用した人材が実際に機能しているか」という採用の質の評価。もうひとつは「どのチャネル・どの職種で早期離職が多いか」というコスト改善のヒントです。採用KPIはファネルの入口(応募数・通過率)だけでなく、出口(定着率)まで設定して初めて採用全体を管理できます。

採用ファネルに定着率を組み込んだKPIの全体像

採用KPIは応募から定着まで一本のファネルで管理することで採用の質が見えてくる

3か月継続率の計算方法

3か月継続率とは、ある期間に入社した人のうち3か月後も在籍している割合です。

計算式

3か月継続率(%)= 入社3か月後の在籍者数 ÷ 同期間の入社者数 × 100

例:4月入社10名のうち3か月後(7月時点)で8名在籍 → 継続率80%

計測の単位をそろえる

継続率は「入社月ごと」に集計します。「今月入社した人が3か月後に何人残っているか」を入社月別に記録し、月次で追いかけます。年度でまとめると季節変動が見えなくなるため、月別管理が基本です。

目安の数値

3か月継続率 状況の目安
90%以上 良好。採用の質・受け入れ体制ともに機能している
75〜90% 改善の余地あり。原因を特定して対処が必要
75%未満 早期離職が多い状態。採用基準・オンボーディングどちらかに課題がある可能性が高い

これらはあくまで参考値です。業種・職種・雇用形態によって適正値は変わります。自社の過去データから「平均値」を算出し、その平均より大きく下回った月・チャネル・職種を問題として特定する相対評価が実務的には有効です。

採用KPIに定着率を組み込む

採用ファネルのKPIに3か月継続率を加えることで、採用から定着まで一本の数字で管理できます。

段階 KPI 計測タイミング 何を判断するか
月間応募数 毎月末 母集団の量
書類通過率・内定率 毎月末 選考の精度
内定承諾率 毎月末 自社の魅力・フォローの質
採用人数 毎月末 採用計画の進捗
3か月継続率 入社3か月後 採用の質・受け入れの質

⑤の3か月継続率が下がったとき、原因は①〜④のどこかにあります。「そもそも採用基準が甘かった(②)」か「受け入れ体制が整っていなかった(④の後のオンボーディング)」かで打ち手が変わります。

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定着率が低い場合の原因の特定フロー

3か月継続率が目標を下回った場合、以下の順番で原因を確認します。

ステップ1:離職のタイミングを確認する

「入社1か月以内の離職」と「入社2〜3か月での離職」では原因が異なります。1か月以内の離職は入社前の情報と実態のギャップ(求人票・面接での説明と実際の仕事のズレ)が主因です。2〜3か月での離職は業務や人間関係のミスマッチが主因です。

ステップ2:職種・チャネル別に比較する

全体の継続率だけでなく、「営業職だけ継続率が低い」「人材紹介経由の入社者は定着しているが求人媒体経由は低い」という切り口で比較します。特定のチャネルや職種に偏りがあれば、そこに課題があります。

ステップ3:退職者へのヒアリングデータを確認する

退職理由を退職時にヒアリングして記録しているか確認します。「一身上の都合」としか記録されていない場合は、ヒアリングの仕組みから整備が必要です。退職理由が「仕事内容が思っていたのと違った」「職場の雰囲気が合わなかった」「給与に不満」のいずれかによって対策が変わります。

3か月継続率が低い場合の原因特定フロー

離職タイミング→チャネル・職種比較→ヒアリングの順に確認することで原因が絞り込める

チャネル別・職種別・時期別の分析

定着率の分析は全体平均だけでなく、以下の切り口でセグメントして比較することで改善ポイントが明確になります。

チャネル別分析

人材紹介・求人媒体・リファラル・スカウトなど採用チャネルごとに継続率を集計します。リファラル採用は職場への期待値が適切に調整されていることが多いため、一般的に継続率が高い傾向があります。特定チャネルの継続率が低い場合は、そのチャネルから来る候補者の特性と自社の仕事のミスマッチを確認します。

職種別分析

職種によって離職しやすい時期が異なります。営業職はノルマへのプレッシャーから3か月以内の離職が多くなりやすく、事務職は業務の単調さへのギャップから2〜6か月での離職が起きやすいです。職種別の継続率を年間で追うことで、募集要項の改善や受け入れ体制の強化ポイントが見えます。

時期別分析

入社時期(4月入社・7月入社など)によって継続率が変わる場合があります。繁忙期直後の入社は現場の受け入れが手薄になりやすく、離職が増えるパターンがあります。時期別の傾向をつかんでおくと、入社月の選び方やオンボーディングの厚みを調整できます。

定着率改善の打ち手

原因が特定できたら、以下の打ち手を状況に合わせて選びます。

原因 打ち手
求人票・面接の情報と実態のギャップ 求人票の仕事内容を入社後の実態に合わせて修正。面接で「大変な部分」も正直に伝えるリアリスティック・ジョブ・プレビューの実施
業務のミスマッチ 採用要件定義の見直し(MUST/WANTの整理)。面接での業務体験(ワークサンプルテスト)の導入
職場の人間関係・雰囲気 入社前のチームメンバーとの顔合わせ設定。入社後の1on1頻度を増やし、不安を早期にキャッチ
オンボーディングの不足 入社後3か月のチェックリスト整備。メンター制度の導入。入社1か月・3か月の定点面談の設定

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よくある質問

Q. 採用人数が少なくて継続率の集計が意味を持ちません。どうすればいいですか?

月別集計では人数が少なすぎる場合は、四半期・半期・年間単位でまとめて集計します。重要なのは「誰が・いつ・なぜ辞めたか」を記録しておくことです。数が少なくても退職理由を分類して蓄積することで、パターンが見えてきます。「求人票との乖離」「職場環境」「条件面」のどれが多いかを記録するだけでも十分に改善のヒントになります。

Q. 定着率と離職率はどう違いますか?

離職率は在籍する全員を分母にした指標(全社の年間離職率など)で、定着率は「採用した人が残っているか」を見る採用固有の指標です。採用改善に使うには定着率(継続率)の方が粒度が細かく有用です。全社の離職率が低くても、新規採用者の早期離職が多いケースがあり、採用の問題と既存社員の定着の問題は切り分けて管理することをおすすめします。

Q. 3か月以外にも計測すべき期間はありますか?

6か月継続率・1年継続率も合わせて記録することをおすすめします。3か月で残っていても6か月・1年で辞めるパターンがある場合、長期定着に課題があります。3か月は「採用のミスマッチ」、6か月〜1年は「育成・評価・働き方の課題」が表れやすい時期です。段階的に計測することで、どの段階の問題かを特定しやすくなります。

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