採用ペルソナを60分で言語化する5つの質問

採用ペルソナをホワイトボードで整理している人事担当者のイラスト

「とりあえず経験◯年以上」「年齢は〜歳くらい」といった条件だけで求人を書くと、誰にも刺さらない“平均的な求人”になりがちです。
とはいえ、中小企業の現場で、時間をかけて完璧なペルソナ資料を作るのも現実的ではありません。必要なのは、60分でサクッと作れて、媒体・LP・面接で“同じ人”をイメージできるペルソナです。
本記事では、兼務人事でも無理なく使えるように、「採用ペルソナを60分で言語化する5つの質問」をテンプレート化しました。求人媒体・採用LP・求人票・面接官ガイドまで、一貫したターゲット像を共有するための最低限セットを目指します。

この記事でわかること
  • 中小企業の採用で「ざっくりペルソナ」が必要な理由
  • 60分で採用ペルソナを言語化する5つの質問と、回答のコツ
  • ペルソナを求人媒体・採用LP・面接に展開する際の使いどころ
  • ペルソナを実務に落とすためのシート構成と、よくあるNGパターン
  • 作ったペルソナの「効き具合」を見て改善していく簡易なチェック方法

なぜ中小企業でも「ざっくりペルソナ」が必要なのか

大企業のマーケティング資料でよく見るペルソナは、名前・家族構成・休日の過ごし方…と、細かすぎて現場で使いづらいことも多いです。
中小企業の採用現場が求めているのは、そのレベルではありません。

ここでの目的は、「求人を書く人・LPを作る人・面接する人が、同じ“人物像”をイメージできる程度のざっくり感です。

  • 媒体のタイトルや検索キーワードを決めるとき
  • LPのファーストビューで「誰に向けて話すか」を書くとき
  • 面接で「どんな人ならマッチするか」を現場とすり合わせるとき

このときに土台になるのが、最低限の採用ペルソナです。
完璧でなくて構いません。大事なのは、

  • ターゲット像が1〜2パターンに絞られていること
  • 求人・LP・面接で言っていることがブレないこと

この記事では、そのために必要な情報だけに絞り込んだ「60分ペルソナ」の作り方を紹介します。

60分で作る採用ペルソナ|全体の流れと5つの質問

まずは全体像から押さえます。
60分でペルソナを作るときは、次のステップで考えるとスムーズです。

60分で採用ペルソナを作る全体フローと5つの質問の図
10分で過去事例を振り返り、35分で5つの質問に答え、最後の15分で一言フレーズにまとめる

  

  1. 過去の採用実績・不採用事例をざっと振り返る(10分)
  2. 5つの質問に沿ってペルソナのメモを埋める(35分)
  3. 媒体・LP・面接で使う「一言フレーズ」に落とし込む(15分)

中心になるのが、次の5つの質問です。

  1. 今、この求人で一番来てほしい人は「どんな経歴」のどんな人か?
  2. その人は今、どんな働き方・状況にいて、何にモヤモヤしているか?
  3. 仕事選びで「絶対に外したくない条件」は何か?(給与・勤務地・時間・裁量など)
  4. この求人に応募する前に、どんな「不安」や「心配」を抱きそうか?
  5. 同じような求人が並ぶ中で、「この求人だけの良さ」はどこにあるか?

この5つに答えられれば、求人媒体・採用LP・求人票・面接官ガイドまで一貫したメッセージを作る土台ができます。
次のセクションから、質問ごとに具体的に見ていきます。

質問1〜2:今どんな人に応募してほしいかを固める

質問1|今、この求人で一番来てほしい人は「どんな経歴」のどんな人か?

まずは、経歴ベースでざっくりとターゲットを決めるところから始めます。

  • 職種経験(例:営業3年/総務・経理2〜3年/店舗スタッフなど)
  • 業界経験(例:小売/ITスタートアップ/製造業など)
  • 役割・ポジション(例:プレイヤー/リーダー候補/マネージャー)

ここでは、「こういう人でもOK」「こういう人はちょっと違うかも」を線引きしておくのがポイントです。

  • OK例:
    「バックオフィスでなんらかの事務経験が3年以上ある人。業界は問わない。」
  • 微妙な例:
    「マネジメント経験しかなく、自分で手を動かすことに抵抗が強い人」

質問2|その人は今、どんな働き方・状況にいて、何にモヤモヤしているか?

次に、その人の現在の働き方とモヤモヤを言語化します。
ここはLPのストーリー部分に直結するので、少し具体的に書いておくと役に立ちます。

  • 働き方:フルタイム/シフト制/残業多め/リモート可否 など
  • モヤモヤ:評価されにくい/裁量がない/将来像が見えない/距離が遠い など

例:
「今は10〜20名規模の会社で総務・経理全般を一人で担当しているが、
評価制度がなく、給与もここ3年ほとんど変わっていない。
会社として紙文化が根強く、改善提案をしてもなかなか進まないことにモヤモヤしている。」

ここまで書けると、のちほど「なぜこの求人が刺さるのか」をLPで書きやすくなります。

質問3〜4:候補者の「求めていること」と「不安」を言語化する

質問3|仕事選びで「絶対に外したくない条件」は何か?

ここでは、ターゲットが仕事を選ぶときの譲れない条件を3〜5個に絞ります。

  • 給与水準(例:年収◯万円以上/時給◯円以上)
  • 勤務時間・残業(例:残業月◯時間以内/◯時までには家に帰りたい)
  • 勤務地・通勤(例:片道◯分以内/在宅と出社のバランス)
  • 役割・裁量(例:プレイヤーメイン/改善提案できる余地)

ここを言語化しておくと、求人票とLPのどこで「条件面の安心」を出すかが分かりやすくなります。

質問4|この求人に応募する前に、どんな「不安」や「心配」を抱きそうか?

4つ目の質問は、不安の棚卸しです。
3本目の記事で扱ったFAQ+安心表記とも直結します。

  • 「本当にワークライフバランスは保てるのか」
  • 「入社してすぐに一人で任されてしまわないか」
  • 「どのくらいのスピードで仕事を覚えればよいのか」
  • 「社内の雰囲気が合わなかったらどうしよう」

これらを書き出しておくと、LP上のどこで不安に答えるかを決める材料になります。
例えば、

  • 働き方の不安 → 条件セクション+FAQで補足
  • フォロー体制の不安 → 研修・オンボーディングの説明とFAQ
  • 雰囲気の不安 → 写真・ストーリー・1日の流れ など
採用ペルソナシートの項目構成を示した図
経歴・現在の状況とモヤモヤ・譲れない条件・応募前の不安を1枚のシートで整理する

質問5:この求人が他と比べて「どこで勝てるか」を決める

最後の質問が一番重要です。
同じような求人が並ぶ中で、この求人だけの「勝ちどころ」はどこにあるかを決めます。

ここでは、次のような観点から1〜2点に絞り込みます。

  • 働き方で勝てる(例:週3〜OK/フレックス/在宅◯割)
  • 成長機会で勝てる(例:少人数で幅広い仕事を任せてもらえる)
  • 環境・カルチャーで勝てる(例:経営層との距離が近い/改善提案が通りやすい)
  • 事業ドメインで勝てる(例:地域密着・社会貢献性が高いなど)

例:
「少人数組織で、経理・総務・労務を横断的に経験できる。
将来はバックオフィス責任者を目指せる人に向いているポジション。」

この「勝ちどころ」は、媒体タイトル/LPファーストビュー/求人票/面接官ガイドですべて共通して使います。

60分ペルソナのアウトプットイメージ

5つの質問への回答が揃ったら、最後に一言フレーズにまとめます。

例:
「総務・経理経験3年以上で、紙文化の職場にモヤモヤしている30代。
ワークライフバランスは守りつつ、バックオフィス全体を任されるポジションで成長したい人。」

この一文が、採用ペルソナの“見出し”になります。
コピー整理シートや求人票のメモ欄など、どこにでも転用できます。

作ったペルソナを媒体・LP・面接でどう使うか

最後に、作ったペルソナを実務でどう使うかを整理します。
ここまで来たら、あとは「どこに貼るか」の話です。

作った採用ペルソナを求人媒体・採用LP・求人票と面接で共有して使うイメージ図
1つのペルソナを、求人媒体・採用LP・求人票/面接官ガイドの3ヶ所で共通言語として使う

求人媒体での使いどころ

  • 求人タイトル:ペルソナの「勝ちどころ」を1フレーズで入れる
  • 一覧の説明文:ターゲットのモヤモヤと、それを解消する一言を書く
  • 検索キーワード:経歴・働き方・エリアなど、ペルソナから逆算して決める

採用LPでの使いどころ

  • ファーストビュー:
    「◯◯なあなたへ」の一言+勝ちどころをそのまま使う
  • ストーリー部分:
    モヤモヤ→出会い→変化の流れを、ペルソナの現在地から書く
  • FAQ+安心表記:
    ペルソナの不安リストから、FAQテーマを抜き出す

求人票・面接官ガイドでの使いどころ

  • 求人票:
    冒頭の「こんな方に来てほしい」の欄にペルソナの一文をそのまま載せる
  • 面接官ガイド:
    「この求人は、こういう人に来てほしい」「こういう人はミスマッチ」の欄にペルソナをそのまま記載

「効き具合」を簡単にチェックする指標

ペルソナがうまく効いているかどうかは、次のような簡易指標でチェックできます。

  • 応募者の経歴が、ペルソナから大きくズレていないか
  • 面接の場で「思ったより◯◯な人が多い/少ない」というギャップが減っているか
  • 媒体を変えても、ターゲット像がブレずに説明できているか

完璧なペルソナを目指す必要はありません。
「まずは60分で1職種分」を作り、実際の応募者を見ながらアップデートしていくくらいの温度感で十分です。