
「媒体の求人原稿を見て来た人が、採用LPに来た瞬間に迷子になる」「採用LPではちゃんと説明しているのに、媒体側の文字数制限でうまく伝えきれない」──
中小企業の採用では、求人媒体とLPの訴求ズレが、応募率の足を引っ張っているケースが少なくありません。
本記事では、検索系媒体・Indeed・求人ボックス・自社LPなど複数チャネルを使っている前提で、「媒体→LPのコピーを鏡写しにそろえるための整理シート」の作り方を解説します。
兼務人事でも、60分あれば1職種分の「コピー整理シート」を完成させて、媒体・LP・面接で一貫したメッセージを出せる状態になることをゴールにしています。
- 求人媒体と採用LPの訴求ズレが起きる典型パターン
- コピー整理シートを作る前に決めておくべき3つの前提(ターゲット・ゴール・チャネル)
- コピー整理シートの基本構成(媒体側・LP側・面接側のメッセージ整理)
- 媒体→LPを「鏡写しコピー」にそろえる3ステップ
- よくあるNGパターンと、その場しのぎにしないための運用のコツ
なぜ求人媒体とLPの訴求ズレが起きるのか
媒体とLPを両方運用している企業でよくあるのが、次のような状況です。
- 媒体側:文字数制限の中で「キーワード優先」で書いている
- LP側:自社らしさやカルチャーを丁寧に説明している
- 結果:媒体→LPに来た瞬間、「さっきと違う求人に来た気がする」と感じさせてしまう
候補者から見ると、流れはこうです。
- Indeedや求人ボックスで、求人タイトルと一覧の短い説明をざっと見る
- 気になったものをタップし、詳細原稿を読む
- 「応募先サイトへ」のボタンやURLリンクからLPへ遷移する
このとき、媒体側とLP側で「誰向けに」「何を一番伝えたいのか」が変わっていると、
候補者は無意識に違和感を覚えます。
条件は悪くないのに応募率が伸びない場合、この「見えない違和感」がボトルネックになっていることも多いです。
そこで必要になるのが、媒体とLPのコピーを一枚のシートで整理することです。
「媒体側にはこう書いているから、LPのこのブロックではこう受ける」と決めておくことで、
どのチャネルから来ても同じメッセージが届く状態を作れます。
コピー整理シート作成前に決めておきたい3つの前提
いきなりシートを埋め始める前に、まずは3つの前提をざっくり言語化しておくと、後の判断がブレにくくなります。

前提1|「誰に」応募してほしいか(ターゲット像)
まずは、今回の求人で狙いたいターゲット像を一言で決めます。
- 例:「総務・経理経験3年以上で、地方で長く働きたい30代」
- 例:「接客経験はあるが事務未経験の20代」
詳細なペルソナを別で作るにしても、コピー整理シートの中では「一言で誰か」を決めることが大事です。
媒体・LP・面接のすべてで、この一言からズレないようにしていきます。
前提2|「何を」一番伝えたい求人なのか(メインメッセージ)
条件や仕事内容が複数あるときほど、メインメッセージがぼやけます。
ここでは、次のような観点で1つだけを決めます。
- 働き方軸(例:週3〜OK・時短OK・副業OK)
- キャリア軸(例:バックオフィスのゼネラリストを目指せる)
- やりがい軸(例:地域密着でお客様から直接感謝される)
媒体の求人タイトル・一覧の説明文・LPのファーストビューでは、
このメインメッセージに沿ってコピーを統一していきます。
前提3|「どのチャネルからの流入」を想定しているか
最後に、今回の求人でメインにしたいチャネルを押さえます。
- 検索(Google検索/オーガニック流入)
- Indeed/求人ボックスなどのアグリゲーション
- SNS経由(X/Instagram/Facebookなど)
- 紹介会社・エージェント経由でLPに直接案内
メインチャネルを決めておくことで、「一覧画面でどう見えるか」「外部サイトからLPに来たとき、1画面目で何を確認してほしいか」が決めやすくなります。
求人媒体×LP用「コピー整理シート」の基本構成
ここから、実際に使うコピー整理シートの型を紹介します。
スプレッドシートでも、1枚のドキュメントでも構いません。
最低限、次の3ブロックが入っていればOKです。

ブロック1|媒体側のコピー(タイトル/一覧/リード)
- 求人媒体名(例:Indeed/求人ボックス)
- 求人タイトル
- 一覧画面の短い説明文
- 媒体詳細ページのリード文(1〜3行)
ここには「実際に媒体に掲載している文言」をそのままコピペします。
まだ掲載前の場合は、「候補案A/B」として2〜3パターン書いておいても構いません。
ブロック2|LP側のコピー(ファーストビュー/セクション見出し)
- LPのH1(ページタイトル)
- ファーストビューのリード文
- 主要セクションの見出し(例:「こんな方に向いています」「この仕事で得られる経験」など)
- 応募前の不安を解消するためのFAQタイトル
ここでは、媒体側と「言っていることが一致しているか」を後でチェックできるように、見出しやリード文を中心に整理します。
ブロック3|面接で伝えるメッセージ(口頭用メモ)
- 初回面談で必ず伝えたい3点
- あえて強調しすぎないようにしている点(給与・残業など)
- 「ここは正直に言う」ライン(忙しい時期/難しい仕事の側面)
面接官ガイドの簡易版として、媒体・LP・面接で矛盾が出ないようにするためのメモをまとめておきます。
これにより、「媒体ではこう書いてあったのに、面接で違うことを言われた」という不信感を防げます。
媒体→LPを鏡写しにそろえる3ステップ
コピー整理シートを使って、媒体→LPの鏡写し度合いをそろえていく手順を3ステップで整理します。

ステップ1|「キーワード」と「約束する価値」を抜き出す
まずは媒体側の原稿から、キーワードと約束している価値を抜き出します。
- キーワード:
例)「週3〜OK」「在宅あり」「未経験歓迎」「年間休日◯日」など - 約束する価値:
例)「家庭と両立しながら長く働ける」「バックオフィスのゼネラリストとして成長できる」など
コピー整理シートの1列を「キーワード」、もう1列を「約束する価値」として分けて書き出しておくと、後でLP側との対応関係を取りやすくなります。
ステップ2|LP側のファーストビューに「鏡写し」で反映する
次に、抜き出したキーワードと価値を、LPのファーストビューに反映します。
ポイントは、「言い換えすぎないこと」です。
例:媒体タイトル
「【総務・経理】週3〜OK/在宅あり/バックオフィス経験者歓迎」
LPのH1案:
「【総務・経理スタッフ】週3〜OK・在宅あり。バックオフィス経験を活かして、無理なく長く働ける職場です。」
このように、媒体で押し出したキーワードを、そのままLPのH1+リードに鏡写しで持ってくることで、
候補者は「さっき見ていた求人の続きだ」と認識しやすくなります。
ステップ3|本文・FAQ・フォームで「補足」と「安心」を加える
最後に、媒体では書ききれなかった部分を、LP側の本文・FAQ・フォーム周りで補います。
- 本文ブロック:
働き方・業務内容・成長機会などを具体例で説明 - FAQ:
「残業はどれくらいか」「在宅はどのくらいの頻度か」など、媒体では説明しきれなかった不安に回答 - フォーム・安心表記:
選考フロー・連絡目安・個人情報の取り扱いを明記し、安心して応募できる状態に整える
すでに公開済みの「ファーストビュー」「応募フォーム」「FAQ+安心表記」の記事と組み合わせると、媒体→LP→応募までの一連のラインを標準化しやすくなります。
実際のチェック例と、よくあるNGパターン
ここでは、コピー整理シートを使った実際のチェック例と、よくあるNGパターンを紹介します。
チェック例|媒体タイトルとLPのH1がズレていないか
コピー整理シートの中で、次のような行を作ってみてください。
- 列A:媒体タイトル
- 列B:LPのH1
- 列C:主なキーワード(週3〜OK/在宅/未経験歓迎 など)
- 列D:メインメッセージ(働き方/キャリア/やりがい のどれか)
この4列を横に見たときに、キーワードとメインメッセージが一致していればOKです。
どこか1つでもズレている場合は、媒体側かLP側のどちらかを修正します。
NGパターン1|媒体では「未経験歓迎」なのに、LPでは経験者前提になっている
媒体の検索性を意識して「未経験歓迎」と入れているのに、LPの本文では「バックオフィス経験3年以上」と書いているケースです。
この場合、どちらの層を本当に取りたいのかを一度決め直す必要があります。
NGパターン2|媒体タイトルとLPのファーストビューで推しているポイントが違う
媒体タイトルでは「週3〜OK・時短OK」を推しているのに、LPのファーストビューでは「成長できる環境」を前面に出しているケースです。
働き方軸とキャリア軸を両方出したい気持ちは分かりますが、1画面目ではどちらかに絞るのがおすすめです。
NGパターン3|媒体・LP・面接で表現のトーンがバラバラ
媒体:カジュアルでフラットな言葉遣い
LP:やたらと固い企業サイト風
面接:フランクでラフな雰囲気
こうしたギャップも、候補者の違和感につながります。コピー整理シートの中で、言葉遣いのレベル感(敬語の強さ・カジュアル度合い)も簡単にメモしておくと、
一貫したトーンを保ちやすくなります。
小さく始めて、数字で効果を見る
いきなり全職種でコピー整理シートを作ろうとすると大変なので、まずは1職種だけを対象にしてみてください。
- 媒体→LP遷移率
- LP→応募フォーム到達率
- LP→応募完了率
これらを、シートを作る前後でざっくり比較してみるだけでも、「訴求ズレを減らす効果」があるかどうかを確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. すべての媒体ごとにシートを作る必要がありますか?
すべてを細かく管理する必要はありません。
まずは「メインで使っている媒体+自社LP」だけを対象にし、それをコピー元として、
他の媒体はその短縮版・変形版と考えるのがおすすめです。
Q2. 文言の細かい違いまで統一しないといけませんか?
細かい言い回しまで完全一致させる必要はありません。
大事なのは、「誰に」「何を一番伝えたいのか」「どんな働き方・価値を約束しているのか」の軸が同じかどうかです。
コピー整理シートでは、その軸がブレていないかを確認することを優先してください。
Q3. 社内の現場メンバーや経営陣にも見せた方がいいですか?
はい、むしろ面接を担当するメンバーには一度見てもらうのがおすすめです。
媒体・LP・面接で同じメッセージを出せるようになると、候補者の信頼感が高まり、
入社後の「聞いていた話と違う」というギャップも減らせます。
Q4. RPOや代理店に運用を依頼している場合でも、このシートは必要ですか?
外部パートナーに任せている場合ほど、コピー整理シートが「共通言語」になります。
「この求人はこういうターゲットで、媒体ではこう書いて、LPではこう受けて、面接ではこう話す」という一枚を共有しておくと、
施策の相談や改善提案もしやすくなります。