帝国DB「人材採用に関する調査」2026年|量不足から質不足へのシフトが示すもの

帝国データバンク2026年採用調査|中小企業が今動くべき3つのこと

帝国データバンクが2026年2〜3月に発表した雇用動向調査で、採用意欲のある企業が3年ぶりに増加に転じたことが明らかになりました。一方で「市場に人材がいない」「大企業との賃金格差で応募が集まらない」という中小企業の声も続いています。数字の背景を読み解き、採用担当者が今週から動けるアクションを3点に絞って整理します。

この記事でわかること

  • 2026年の採用意欲が3年ぶりに回復した背景
  • 人材不足の質的変化と中小企業への影響
  • 中途採用の経験者獲得競争が激化する構造
  • 中小企業が今週から動ける3つのアクション

調査が示す2026年の採用市場

帝国データバンクが全国2万3,568社を対象に実施した「2026年度の雇用動向に関する企業の意識調査」(2026年2月実施)から、以下の数字が明らかになりました。

指標 数値 前年比
正社員採用予定あり 60.3% +1.5pt(3年ぶり上昇)
正社員が不足している企業 5割台(8か月連続) 高水準で推移
採用形態:新卒 36.9%
採用形態:中途 52.4% 中途が新卒を上回る

採用意欲の回復の背景には、継続する人手不足への対応だけでなく、退職・高齢化による補充需要の増加と、事業拡大を見据えた「攻めの採用」の動きがあります。景気が上向いた企業が採用に踏み出した年であることが数字に表れています。

2026年採用予定の推移グラフ

採用意欲が3年ぶりに回復。中途が新卒を大きく上回る構造

中小企業に絞った現状と課題

全体の数字では「採用意欲が回復」と読めますが、中小企業の実態はより厳しい状況が続いています。同調査では、採用予定があると回答した企業からも以下のような声が上がっています。

  • 「市場に人材がいない。採用したくても採用できない」
  • 「大企業に比べて賃金水準で見劣りするため、応募が集まらない」
  • 「賃上げをしたいが、既存社員との賃金バランスの調整が難しい」

この背景には構造的な問題があります。リクルートワークス研究所の調査では、300人未満の中小企業における大卒求人倍率が約9倍に達しています。1人の求職者を約9社で奪い合っている状況で、かつ大企業の初任給が30万円を超える水準になっている中では、給与だけで戦うことは現実的ではありません。

非正社員から正社員への移行という変化

注目すべきは、採用形態の変化です。今回の調査では非正社員の採用予定が3年連続で低下する一方、非正社員から正社員へ登用する意向を示す企業が増えています。外部採用が難しい中で、社内の人材を活かす方向へのシフトが起きています。

人材不足の焦点が量から質に変わっている

マイナビキャリアリサーチLabの「中途採用状況調査2026年版」でも、注目すべき変化が示されています。

正社員人材の不足感は4割超と依然高い水準を保ちながらも、その中身が変わっています。かつての「人数が足りない」という量的不足から、「スキルや経験を持つ人材がいない」という質的不足へのシフトが起きているのです。

同調査では、募集当初の採用要件を満たさない場合に「採用しないことが多かった」企業が62.1%と前年より7.7pt増加しています。人数を確保するために基準を下げるのではなく、要件を満たす人材を厳選する動きが強まっています。

中堅社員の退職が最大のダメージになっている

同調査では退職が発生した企業のうち、最もダメージが大きかった退職者として「勤続5年以上の中堅社員」が最多となっています。人数で補える新卒補充と異なり、経験と知識を持つ中堅層の流出は、組織の即戦力が失われることを意味します。採用と同時に定着の設計が急務であることがデータから見えます。

人材不足の質的変化と採用競争の構造図

「採れない」から「合う人がいない」へ。人材不足の構造が変わっている

中小企業が今動くべき3つのこと

調査の数字を踏まえ、中小企業の採用担当者が今週から着手できるアクションを3点に絞ります。

① 採用要件の「MUST」を絞り直す

質的不足が深刻化している市場で、すべての要件を満たす候補者を待ち続けると機会を逃します。採用要件を「絶対に必要なMUST」と「入社後に身につけられるWANT」に分け、MUSTだけで合否判断できる基準に絞り直してください。特に中小企業では現場育成の柔軟性が大企業より高いため、ポテンシャル採用の余地が大きいです。

② 中途採用の経験者チャネルを1つ強化する

今年は経験者採用の競争が一段と激しくなっています。スカウト型の媒体を使っている場合は文面と送付ターゲットの見直し、使っていない場合は1つ試してみることを検討してください。特にリファラル採用は経験者へのアクセスにおいてコスト効率が高く、まだ手をつけていない企業は今が導入のタイミングです。

③ 中堅社員の定着を採用と同じ優先度で扱う

採用に力を入れながら、一方で中堅社員が辞め続けている状態では積み上がりません。直近1年で中堅社員の退職があった場合、退職理由と残る社員の満足度を確認することを最初のアクションとして設定してください。採用計画と同じシートに定着施策を並べて管理することで、どちらも可視化できます。

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よくある質問

Q. 採用意欲が回復しているなら、今年は応募者が増えますか?

採用する側の意欲は回復していますが、求職者の数は増えていません。求人が増えても求職者の数が変わらなければ、1社あたりに来る応募数はむしろ減ります。300人未満の中小企業の求人倍率は引き続き高水準で、「求人を出せば応募が来る」という状況ではありません。自社への応募を増やすには、求人票の質と露出チャネルの見直しが必要です。

Q. 賃上げができない中小企業はどう戦えばいいですか?

給与以外の訴求軸を言語化することが第一歩です。裁量の大きさ・意思決定の速さ・仕事の意味・人間関係の質など、中小企業が大企業より強みを発揮しやすい領域は複数あります。また、既存社員の給与水準を先に見直すことが、採用力と定着力の両方に効くケースが多いです。採用費を使う前に社内の処遇を改善する順序を検討してください。

Q. 中堅社員の定着を改善するには何から始めればいいですか?

まず直近1年以内に退職した中堅社員の退職理由を確認することが最初のステップです。退職理由は複数あるケースが多いですが、「給与」「成長機会」「人間関係」「会社の将来性」のどれが多いかを把握することで、施策の優先順位が決まります。退職理由の聞き取りが難しい場合は、現在在籍している中堅社員への面談から始めることをおすすめします。

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