2024年6月に成立した改正法に基づき、技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」が2027年4月1日に施行されます。2025年9月26日の閣議で施行日が正式決定し、現在受け入れ中の企業・これから外国人材の採用を検討する中小企業にとって、制度移行への準備期間に入っています。育成就労は「日本の人手不足分野での人材育成・確保」を目的とし、就労開始時の日本語能力要件・本人意向による転籍など、技能実習とは設計が異なります。この記事では制度概要と中小企業が今からできる準備を整理します。
- 育成就労制度の概要と施行スケジュール
- 技能実習制度からの主な変更点
- 中小企業の採用実務への影響
- 受け入れに向けた社内準備のポイント
育成就労制度の概要と施行時期
育成就労制度は、技能実習制度に代わって創設された外国人材の受け入れ制度です。詳細は出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」に掲載されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改正法の公布 | 2024年6月(改正入管法・育成就労法) |
| 施行日 | 2027年4月1日(2025年9月26日閣議決定) |
| 移行期間 | 施行後約3年間(〜2030年頃)。技能実習と育成就労が併存 |
| 制度の目的 | 日本の人手不足分野での「人材育成」と「人材確保」 |
| 在留資格 | 「育成就労」(最大3年) |
| 対象分野 | 特定産業分野から「航空」「自動車運送業」を除いた分野 |
3年間の育成期間で特定技能1号水準の技能を有する人材を育成し、その後特定技能制度に接続することで、外国人材の中長期的なキャリアパスを描けるよう設計されています。
技能実習制度との主な変更点
技能実習制度から育成就労制度へは、目的・受け入れ条件・運用ルールに大きな変更があります。とくに採用実務に直結する変更点は次の通りです。
| 比較項目 | 技能実習 | 育成就労 |
|---|---|---|
| 目的 | 技能移転による国際貢献 | 人材育成・人材確保 |
| 日本語要件 | 就労開始時の要件なし | 入国前にN5(A1)相当以上が必要 |
| 転籍 | 原則不可(やむを得ない事情のみ) | 一定要件下で本人意向による転籍が可能 |
| 特定技能への移行 | 2号良好修了で試験免除 | 技能検定3級等+日本語N4等の試験合格が必須 |
| 受入れ窓口 | 監理団体 | 監理支援機関(要件が厳格化) |
| 前職・復職要件 | あり | 撤廃 |
とくに「本人意向による転籍」が認められる点は、企業の受け入れ姿勢に大きな影響を与えます。労働条件・職場環境が他社と比較される構造となるため、待遇・育成計画・日本語教育などを含めた受け入れ体制の整備が、採用後の定着にも直結します。
中小企業の採用実務への影響
① 採用設計のキャリアパスを長期化して捉える
育成就労(最大3年)→特定技能1号(最大5年)→特定技能2号(更新制・家族帯同可)と、外国人材の在留・就労が中長期で続く設計になりました。「3年だけの一時的な労働力」ではなく「5年〜10年以上のキャリアパスを描いて受け入れる」発想が必要になります。中途採用全体の進め方は中途採用の進め方|採用準備から内定承諾まで全ステップを解説を参照してください。
② 採用チャネルとして「監理支援機関」の選定が重要
育成就労での受け入れは、原則として監理支援機関(旧監理団体に相当)を通じます。技能実習で利用していた監理団体が育成就労の監理支援機関へ移行できるかは、機関ごとに要件確認が必要です。今後新規に外国人材を採用する場合は、監理支援機関の選定が採用チャネル戦略の一部になります。チャネル設計全体は採用チャネルの選び方|職種・予算・ターゲットで組み合わせを決めるを参照してください。
③ 採用後の定着支援が成果を左右する
本人意向の転籍が認められるため、入社後の体験・育成計画の質が定着率に直結します。技能実習時代のように「転籍できない前提」での運用は通用しません。日本語教育・指導員体制・キャリアパスの明示など、定着支援の設計が採用成功の前提です。入社後の定着設計は入社後3か月の定着設計|オンボーディング実務も参考にしてください。
受け入れに向けた社内準備
準備①:監理支援機関の確認・選定
2026年9月頃から監理支援機関の許可申請・育成就労計画の認定申請の受付が開始される見込みです。既存の監理団体との関係がある企業は、移行可否を早めに確認します。新規に検討する場合は、複数機関を比較して選定します。
準備②:育成計画と日本語教育体制の整備
育成就労では外国人ごとの「育成就労計画」の策定が必要で、3年間で特定技能1号水準に到達できる育成設計が求められます。日本語教育(入国前N5レベル→3年間でN4レベル)の支援体制も整える必要があります。社内に日本語講師がいない場合は外部の日本語教室・オンライン学習ツールとの連携を検討します。
準備③:社内の指導員・責任者の講習受講
育成就労責任者・育成就労指導員・生活相談員は法務大臣・厚生労働大臣が指定する講習の受講が必要となります。施行までに対象者の講習スケジュールを確保しておきます。
準備④:労働条件・処遇の見直し
転籍が認められる前提で、競合他社と比較されても選ばれる労働条件・処遇に整えます。賃金・労働時間・休日・福利厚生だけでなく、生活支援・住居・コミュニケーション環境までを含めた総合的な「働きやすさ」が問われます。労務・就業規則の見直しと並行して、入社時の手続き整備も進めます。詳しくは内定後の入社手続きチェックリスト|採用担当者がやること一覧を参照してください。
※本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。最新の制度詳細は出入国在留管理庁の公式情報でご確認ください。
⚠️ 個別の運用は専門機関への確認を
育成就労制度は政省令・運用要領の詳細が今後整備される段階です。具体的な手続きは出入国在留管理庁・監理支援機関・社労士・行政書士等にご確認ください。