「求人を出しているのに応募が来ない」「応募は来るが面接で会ってみるとイメージと違う」——この2つは、求人票の設計が不十分なことが原因であることがほとんどです。求人票は「情報を羅列する書類」ではなく、「候補者が応募するかどうかを決めるための意思決定ツール」です。つまり、同じ情報でも書き方次第で応募数と応募質の両方が変わります。この記事では、採用担当者が求人票を書く際に必ず意識すべき全項目の設計と、応募率を上げる書き方の型を整理します。
- 応募が集まる求人票と集まらない求人票の違い
- 求人票の全項目(10項目)の書き方とNG・OK例
- 職種別の書き方のポイント(営業・事務・エンジニア・未経験歓迎)
- 応募が来ない求人票の失敗パターン3つと回避策
- 媒体別(Indeed・転職サイト・紹介会社)の注意点
目次
応募が集まる求人票と集まらない求人票の違い
応募が集まる求人票と集まらない求人票の違いは、「情報量」ではなく「候補者視点で設計されているかどうか」にあります。求人票を読む候補者は次の3つの問いに答えを探しています。
- 自分に当てはまるか:経験・スキル・雇用形態・勤務地などの条件が自分に合うか
- 働くイメージが持てるか:どんな仕事を・誰と・どんな環境でするのかが想像できるか
- この会社を信頼できるか:曖昧な表現・過剰なアピール・情報不足がないか
この3つに答えられている求人票が「応募が来る求人票」であり、どれかが欠けると候補者は離脱します。求人票を書く前に「自分がこの求人を見た候補者だったら、どの段階で読むのをやめるか」を考えることが最初のステップです。

候補者は「条件確認→働くイメージ→信頼確認」の順に読み進める。どこかで答えが得られないと離脱する
求人票の全項目:NG例・OK例・書き方のコツ
求人票の各項目には、候補者が確認したいことが異なります。項目ごとのNG例・OK例・設計のコツを整理します。
| 項目 | NG例 | OK例 | 設計のコツ |
|---|---|---|---|
| ①職種名・タイトル | 「スタッフ募集」「○○会社スタッフ」 | 「法人営業担当|完全週休2日・転勤なし」 | 職種名+最も刺さる訴求1点を入れる。検索でヒットする言葉を選ぶ |
| ②仕事内容 | 「営業および関連業務全般。その他指示された業務」 | 「既存顧客50社への定期提案・新規3〜5件/月・提案資料は会社のテンプレあり」 | 1日・1週間のスケジュールを具体的に。「全般」「その他」は候補者の不安を増やすだけ |
| ③給与 | 「月給22〜40万円(経験・能力により決定)」 | 「月給25〜30万円(入社時の実績・前職給与を考慮)固定残業20時間分を含む」 | 幅が広すぎると信頼を失う。固定残業が含まれる場合は必ず明記する |
| ④勤務地 | 「東京都内(詳細は面接時にお伝えします)」 | 「○○区○○町(△△線△△駅から徒歩7分)転勤なし」 | 最寄り駅・徒歩時間を必ず記載。転勤の有無を明示する |
| ⑤勤務時間 | 「9:00〜18:00(残業あり)」 | 「9:00〜18:00(月平均残業15時間・繁忙期は20〜25時間)」 | 残業時間は「ほぼなし」より平均実績値を書く。フレックス制なら詳細を記載 |
| ⑥休日・休暇 | 「週休2日制(シフトによる)」 | 「完全週休2日(土日)・祝日・年間休日126日・有給取得率85%」 | 「完全」と「選択」週休2日の違いを明示。有給取得率や年間休日数は数字で書く |
| ⑦応募要件 | 「コミュニケーション能力が高い方・意欲のある方」 | 「法人営業経験3年以上・Excel基本操作可(VLOOKUP程度)・普通自動車免許」 | MUSTとWANTを分けて記載。「意欲」「コミュ力」など主観的表現は避ける |
| ⑧待遇・福利厚生 | 「各種保険完備・交通費支給・その他充実した福利厚生」 | 「健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険完備、交通費実費支給(月上限3万円)、資格取得支援(年5万円上限)」 | 「充実した福利厚生」は意味がない。制度名・金額・上限を具体的に列挙する |
| ⑨試用期間 | (記載なし) | 「試用期間3か月(期間中の給与・待遇は本採用時と同一)」 | 記載がないと不信感につながる。試用期間中の給与が変わる場合は必ず明示する |
| ⑩選考フロー | 「書類選考後、面接を行います」 | 「書類選考(3営業日以内に結果連絡)→ 一次面接(オンライン・30分)→ 最終面接(対面)→ 内定」 | ステップ数・形式・日数の目安を書くことで候補者の不安が減り応募率が上がる |
仕事内容の書き方:5つの型
仕事内容は求人票の中で候補者が最も時間をかけて読む項目です。以下の5つの型を組み合わせることで、読まれる仕事内容が書けます。詳しくは求人票の仕事内容の書き方・応募が動く5つの型を参照してください。
- 1日の流れ型:「午前:顧客訪問3件・午後:提案書作成・夕方:チームMTG」のように時系列で見せる
- 担当範囲型:「企画から納品まで一貫して担当」のように責任範囲を明確にする
- 数字型:「担当顧客40社・月次提案5〜8件」のように規模を具体化する
- 成長ストーリー型:「入社3か月:既存対応→6か月:新規開拓→1年:リーダー候補」のようにキャリアパスを示す
- チーム紹介型:「5名チーム・平均年齢30歳・全員中途入社」のようにチームの雰囲気を伝える
💡 求人票の改善・採用LPの設計・制作はHirePageへ。応募率を数字で改善します。
職種別の書き方のポイント
求人票の書き方は職種によって優先すべき情報が異なります。候補者が「自分に当てはまるか」を最初に確認する項目が職種で違うためです。
営業職
営業職の候補者が最も気にするのは「ノルマの有無」「新規 vs 既存の比率」「インセンティブの仕組み」の3点です。これらを曖昧にすると「怖い営業かもしれない」という印象で離脱されます。
- 「新規開拓30%・既存フォロー70%」のように比率を数字で示す
- 「目標はあるがノルマ未達による給与カットなし」のように制度の実態を正直に書く
- インセンティブがある場合は「月収例:基本30万円+平均インセンティブ8万円=月収38万円」と実例を入れる
- 商材・業界・顧客層を具体的に書く。「BtoB向けSaaS製品の法人営業」のように絞り込む
事務・管理職
事務系は「使用ツール・システム」「一人担当か分業か」「残業時間」の3点が最重要です。特に使用ツールは「Excel・Word」では不十分で、「勘定奉行・Salesforce・kintone」のように固有名詞で書くことが求職者の信頼を得るポイントです。
- 使用ツール・システム名を具体的に列挙する
- 「一人でゼロから担当」なのか「チームで分業」なのかを明確にする
- 産育休の取得・復職実績を数字で書く(女性の多い職場では特に重要)
エンジニア職
エンジニアはスキル要件の精度と開発環境の情報量で応募するかどうかを判断します。「なんでもできる方歓迎」という記載はエンジニアには刺さりません。
- 使用言語・フレームワーク・インフラ・開発手法(アジャイル・スクラムなど)を明記
- 「MUST:Python3年以上」「WANT:クラウド経験・AWSまたはGCP」のように明確に分ける
- チーム構成・コードレビューの有無・デプロイ頻度など開発文化を書く
- 副業・リモートの可否を必ず記載する
未経験歓迎・第二新卒向け
未経験歓迎の求人で最もよくある失敗は「誰でも歓迎」に見えすぎることです。「誰でもいい会社」に見えると応募の質が下がります。「未経験可だが、こういう人を求めている」という条件を明示することで応募の質が上がります。詳しくは未経験採用で避けたいNGワードと言い換えの例を参照してください。
- 「業界未経験可・ただし社会人経験2年以上」のように「何が未経験でOKか」を明確にする
- 研修制度・OJT期間・先輩社員のサポート体制を具体的に書く
- 入社後のモデルキャリアを3か月・6か月・1年で示す
応募が来ない求人票の失敗パターン3つ
失敗パターン①:タイトルで候補者を引きつけられていない
求人票はまず「タイトル(職種名)」で候補者の目に留まるかどうかが決まります。Indeed・doda・エン転職などの媒体では、候補者は一覧画面で3〜5秒でタイトルを見て開くかどうかを判断します。「総合職募集」「スタッフ募集」「正社員募集」など職種が不明瞭なタイトルは、検索でも一覧でもスルーされます。
回避策:タイトルは「職種名+最も刺さる訴求1点」を基本とします。「法人営業(完全週休2日・残業月10時間以下)」「Webエンジニア(フルリモート・副業OK)」のように、候補者が一覧で目を止める理由を1点だけ入れます。タイトルの書き方については求人票のタイトルと書き出しの書き方で詳しく解説しています。
失敗パターン②:仕事内容が抽象的で働くイメージが持てない
「営業業務全般」「事務・その他関連業務」という仕事内容は、候補者にとって「何をさせられるかわからない」という不安のシグナルです。特に転職経験者は「前の職場でも最初の求人票と全然違った」という経験を持っていることが多く、抽象的な記載に敏感です。
回避策:仕事内容は「1日の流れ」「担当比率(数字)」「使うツール」を入れて具体化します。「8時間のうち、顧客訪問3〜4時間、社内資料作成2時間、メール対応1時間、MTG1〜2時間」のように分解することで、候補者が自分の働くイメージを持てるようになります。
失敗パターン③:給与の表記が信頼を損なっている
「月給22〜50万円」という幅の広い給与表記は、「実際はほとんどの人が22万円なのでは」という不信感を生みます。また、固定残業代が含まれているにもかかわらず明記していない場合、面接や内定後に「思ったより手取りが低い」という辞退・ミスマッチの原因になります。
回避策:給与の幅は実態に合わせて狭くします。固定残業代が含まれる場合は「月給25万円(固定残業20時間分4万円を含む)・超過分は別途支給」のように法令に従って明記します。また最低賃金に抵触していないかを定期的に確認することも重要です(最低賃金引き上げと採用への影響を参照)。
🔧 求人票・採用LPの訴求設計から採用フロー整備まで、LoopOpsがサポートします。
媒体別(Indeed・転職サイト・紹介会社)の注意点
求人票は掲載する媒体によって最適な書き方が異なります。候補者の属性・検索方法・読む文脈が媒体によって違うためです。
Indeed・ハローワーク(無料掲載型)
Indeedは検索エンジン型のため、タイトルと仕事内容の冒頭がそのまま検索結果のスニペットに表示されます。そのため「最初の100文字で候補者を引きつけること」が最優先です。仕事内容の書き出しに「何をする仕事か」「どんな候補者に向いているか」を端的に書きます。
また、Indeedは表示順位がクリック率・応募率・掲載金額に影響されます。給与・勤務地・休日数などの基本情報が欠けていると表示が落ちる原因になります。Indeedで表示が落ちたときに最初に見る給与・固定残業・試用期間の書き方も合わせて参照してください。
doda・エン転職・マイナビ転職(転職媒体型)
転職媒体はIndeedと比べて求人票の文字数上限が多く、詳細な情報を載せられます。しかし「とにかく情報を詰め込む」求人票は読まれません。読む候補者が転職意向の高い層であることを意識して、「なぜこの会社で転職先として選ぶべきか」の理由を「仕事内容・職場環境・キャリアパス」の観点で伝えることが重要です。
また、転職媒体では求人票の他に「会社説明」や「社員インタビュー」などを別途掲載できます。求人票の仕事内容は「事実の整理」に徹し、感情的な訴求は社員インタビューに任せる役割分担が効果的です。
人材紹介会社向け
人材紹介会社に求人票を渡す場合は、エージェントが候補者に説明するための「採用ピッチ資料」と合わせて提出することで、ミスマッチ紹介が減ります。求人票に書けない「採用背景(なぜ今この人材が必要か)」「合格ラインのイメージ(こんな方がいたら即採用)」を採用担当者から直接エージェントに伝えることが精度向上の鍵です。詳しくは採用ピッチ資料の作り方を参照してください。
また、紹介会社向けの求人票を自社の採用LPに流用する際には「媒体向けの表現」と「候補者が直接読む表現」の違いを意識した修正が必要です。紹介会社向け求人票を流用して採用LPを作るときの注意点も確認してください。
求人票を書いた後のチェックリスト
求人票を書き終えたら、掲載前に以下のチェックリストで確認します。
| No. | 確認項目 |
|---|---|
| 1 | タイトルに職種名が明確に入っているか |
| 2 | 仕事内容に「1日の流れ」または「担当する業務の比率・規模」が書かれているか |
| 3 | 給与に固定残業代・試用期間中の給与が明記されているか |
| 4 | 給与が最低賃金を下回っていないか(月給制は時給換算で確認) |
| 5 | 残業時間が「ほぼなし」「少なめ」ではなく実績の数字で書かれているか |
| 6 | 転勤の有無・試用期間の有無が明記されているか |
| 7 | 応募要件にMUST・WANTの区別があり、主観的表現(コミュ力・意欲)が入っていないか |
| 8 | 福利厚生が「充実」ではなく制度名・金額・条件で具体的に書かれているか |
| 9 | 選考フローがステップ・形式・日数目安で書かれているか |
| 10 | 自分が候補者としてこの求人票を読んだとき、応募したいと思えるか |
このチェックリストに加えて、「採用ペルソナ」と「求人票の訴求」がずれていないかを確認することも重要です。ペルソナが30代・マネジメント志向の経験者なのに、求人票が未経験歓迎の訴求になっていると応募質が下がります。採用ペルソナの言語化方法と求人媒体とLPの訴求ズレをなくすコピー整理シートも合わせて確認してください。
よくある質問
Q. 求人票に書いてあることと実態が違っても大丈夫ですか?
大丈夫ではありません。求人票の記載と実態が違う場合、入社後の「思っていた仕事と違う」という早期離職の原因になります。また、労働条件通知書との記載内容に重大な差異がある場合は、労働者側から労働契約の解除を求められるリスクもあります。求人票は「採用広告」であると同時に「雇用条件の提示の一部」として機能するため、実態に即した記載をすることが原則です。
Q. 求人票の文字数はどのくらいが適切ですか?
媒体によって異なりますが、Indeedは仕事内容の冒頭150〜200文字が特に重要で、ここでスニペットが決まります。転職媒体(doda・エン転職など)では仕事内容1,000〜1,500文字が読まれる目安です。文字数より「候補者が知りたい情報が揃っているか」を優先してください。情報が揃っていれば500文字でも機能しますし、情報が薄ければ2,000文字でも応募は来ません。
Q. 求人票と採用LPは別々に作る必要がありますか?
役割が異なるため、理想的には別々に作ります。求人票は「媒体の検索結果で見つけてもらい・条件を確認してもらう」ためのツール、採用LPは「会社への理解を深め・応募意欲を高める」ためのツールです。ただし、リソースが限られている場合は、まず求人票を充実させてから採用LPに発展させる順番が現実的です。採用LPのファーストビュー設計も参考にしてください。
Q. 求人票を定期的に更新する必要はありますか?
あります。特に以下のタイミングでは必ず見直します。①最低賃金が改定された(毎年10月前後)、②給与・福利厚生・勤務条件が変わった、③応募数が急に減った・質が下がった、④新しい採用チャネルに展開するとき。求人票は「一度書いたら終わり」ではなく、採用の数字と合わせて定期的に改善するものとして扱います。採用LPの応募転換率(CVR)の測り方と改善も合わせて参照してください。
Q. 採用要件が厳しくて応募が来ません。どうすればいいですか?
まず「MUST要件の中に、実はWANTに下げられるものがないか」を現場マネージャーと再確認します。「英語力TOEIC700以上」がMUSTになっているが実際の業務で英語を使う頻度は月1回という場合、MUSTをWANTに変えるだけで母集団が広がります。次に、MUSTが本当に絶対に必要なのであれば、チャネルを変える・スカウトに切り替える・採用単価を見直すという対応が必要です。採用要件定義シートの書き方も参照してください。
求人票の設計・改善についてご相談がある方は、まずは下からご連絡ください。