マイナビ2026年中途採用調査|採用の「量不足」から「質不足」へのシフト

マイナビ2026年中途採用調査|採用の「量不足」から「質不足」へのシフト

マイナビキャリアリサーチLabが2026年3月に発表した「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」で、企業が抱える採用課題の変化が明らかになりました。かつて「とにかく人手が足りない」だった不足感が、2025年を経て「スキルや経験が足りる人材に会えない」へと変質しつつあります。この変化は中小企業の採用戦略に直接影響を与えます。調査の主要データと、中小企業が今動くべきポイントを整理します。

この記事でわかること

  • 2025年の中途採用目標達成率と実態
  • 「量的不足」から「質的不足」へのシフトの数字
  • 採用要件を下げず「採用しない」企業が増えている背景
  • 2025年の退職者の傾向と企業への影響
  • 中小企業が2026年に向けて取るべき3つのアクション

調査の概要

本調査はマイナビキャリアリサーチLabが、中途採用業務を担当する企業の人事担当者1,500名を対象に実施したものです(2026年3月27日発表)。2025年の実績を振り返りながら2026年の採用意向を聞いた内容で、中途採用の現場の変化を読み解く数少ない定点調査のひとつです。

調査概要

調査名:中途採用状況調査2026年版(2025年実績)
実施主体:マイナビキャリアリサーチLab
対象:中途採用業務担当の人事担当者1,500名
発表日:2026年3月27日

目標達成率92.9%の実態

2025年の中途採用人数目標の達成割合は92.9%で、前年(65.2%)から27.7ポイント増と過去最高水準を記録しました。一見すると「採用がうまくいっている」と読めますが、内訳を見ると別の側面が浮かびます。

年度 目標達成率 平均採用目標人数 実際の採用人数(平均)
2023年 60.9% 30.8人 21.8人
2024年 65.2% 28.7人 20.8人
2025年 92.9% 16.7人 12.3人

達成率が高くなった背景には、採用難を受けて多くの企業が採用目標人数を大幅に下方修正したことがあります。採用目標の平均は2023年の30.8人から2025年は16.7人へほぼ半減しており、「目標を現実に合わせた結果として達成率が上がった」という解釈が適切です。採用市場の地合いが改善したわけではなく、採用へのハードルは引き続き高い状態が続いています。

不足感の焦点が「量」から「質」へ

今回の調査で最も注目すべき変化がこの数字です。正社員の不足感がある企業は40.1%と依然高水準ですが、その内訳に変化が起きています。

不足感の種類 2025年 前年比
量的不足(人数が足りない) 69.6% ▼ 3.7pt
質的不足(スキル・経験が足りない) 55.6% ▲ 6.7pt

量的不足は減少する一方で、「高スキル人材や即戦力が足りない」という質的不足が増加しています。さらに、採用要件を満たさない場合に「採用しないことが多かった」と答えた企業は62.1%と、前年より7.7ポイント増加しました。「とりあえず人数を確保する」より「要件に合った人材だけを採る」という方針に転換している企業が増えているとみられます。

量的不足から質的不足へのシフトを示す比較図

量的不足は減少・質的不足は増加。採用課題の性質が変わりつつある(マイナビ2026年調査より)

この変化が中小企業に与える影響は大きいです。質的不足が広がる中、経験者・即戦力人材の獲得競争が激化します。大企業も「採用数を絞って質を重視する」方向に動いているため、優秀な経験者ほど引き合いが増えることが予想されます。

退職者の傾向と企業への影響

2025年に正社員の退職者が発生した企業の割合は49.3%でした。退職者の属性別に「業務や経営にマイナスの影響があった」と答えた割合を見ると、中堅社員の退職が最も企業ダメージが大きいことが明らかになっています。

退職者の属性 業務・経営への痛手認識
勤続5年以上の中堅社員 68.8%(最多)
20代の正社員 66.3%
新卒入社の正社員 65.3%

勤続5年以上の中堅層は業務知識・顧客関係・チームのノウハウを担っていることが多く、同等の人材を採用してもすぐには補えません。採用活動を強化するだけでなく、既存の中堅社員の定着を維持することが、採用コスト全体を下げるうえでも重要になっています。

2026年の採用意向と中小企業へのインパクト

2026年の中途採用について「積極的な意向(計)」を示した企業は91.1%にのぼりました。さらに「求める業界経験・職種スキルを持つ経験者の採用に積極的(計)」は74.2%と、経験者への需要が特に強くなっています。

退職者が発生した企業では、経験者採用への積極性はさらに高く83.4%に達しています。採用難の時期に目標を下方修正した企業が、2026年は「今度こそ経験者を取りたい」と動き出す構図です。

中小企業にとってのインパクトは、「同じ経験者を大手も中小も同時に狙う状況」がより強まるという点です。給与水準で競争力を持ちにくい中小企業は、採用スピード・職場環境の開示・採用体験の質で差をつける必要があります。

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中小企業が今動くべき3つのアクション

① 採用要件の「MUST/WANT」を整理し直す

質的不足が広がる中で「要件を下げて採用数を確保する」より「要件に合う人材を確実に選ぶ」という市場トレンドが強まっています。一方、中小企業は採用要件が曖昧なまま求人を出しているケースが多く、「理想は高いが現実の業務に必要なスキルは何か」を整理できていないことがあります。MUSTとWANTを明確に分け、MUSTを絞り込むことで候補者のプールが広がります。

② 経験者・中堅層に響く訴求を作る

経験者の獲得競争が激しくなる局面では、給与だけでなく「自分の経験を活かせる環境か」「成長できる余地があるか」「職場の雰囲気は合うか」という情報が採用の決め手になります。採用LPや採用ピッチ資料に「どんな人が活躍しているか」「入社後にどんな仕事を任せるか」を具体的に書くことが重要です。

③ 中堅社員の定着を採用と並行して整備する

採用に成功しても中堅層が抜ける穴を埋め続ける構造では、採用コストが圧迫されます。今の中堅社員が「なぜここで働き続けるのか」を把握し、評価制度・待遇・働き方のどこかで改善できる余地がないかを確認することが、採用投資の効率を高めます。

中小企業が今取るべき3つのアクションの図解

要件整理・訴求強化・定着整備の3つを同時に進めることで採用の質と効率が上がる

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※本記事はマイナビキャリアリサーチLab「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」(2026年3月27日発表)をもとに作成しています。